2002年4月28日 「ジャングル事務」執筆開始の巻
2002年5月5日 ジャングル実地(?)調査の巻
2002年6月17日 役者への信頼と脚本執筆速度の意外な関係の巻
2002年6月23日 不治の病、ついに発病の巻
2002年7月7日 本番1ヶ月前に物思うの巻
2002年7月20日 ぴあ掲載記事に劇団員衝撃の巻
2002年8月2日 脚本、ついに完成の巻

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2002年4月28日 「ジャングル事務」執筆開始の巻
 本番まで約3ヶ月半。今日は執筆開始、キャラ設定の日です。
 脚本作りは大抵、リーダーの愚痴から始まります。
 「今回キャスト多すぎだよ!!何だ14人って!前回の12人だって死ぬ気で書いたのに!!」
 耳にタコです。これから本番までもあと数百回は聞くことになるでしょう。この状態からどうにか脚本を書く気を起こさせるのが私の仕事。まずは食べ物を与えてイライラを静めます。症状が軽い場合はそれだけでもOK。
 「あ、そうだ、思い付いた。この平田、堀口、由比(出演者の名前)さ、ちびのサラリーマン三人組にしちゃってさ、名前は佐藤・鈴木・田中ね。ほら決まり」
 …さすがと言うべき思いつきなのか、ただ投げ遣りなのか。ハンバーガーをくわえながらやる気を出し始めたリーダーの姿を見て、このまま続行する判断を下します。
 「んで、ジャングルに住んでる日本人たちは動物の名前にしよ。みんなコードネームで呼び合うの。良くない? 根本っちゃんはとりあえずゴリさんでしょ。わはは」
 ゴリさん。そのままです(普段から根本氏はそう呼ばれている)。いいのかな、本人に怒られないかしらと不安になる私。でもこういう勢いがついたら早いです。
 「いっちーはピラルクーね。わかる? アマゾンに住んでるナマズのでかいやつ。あれ。ピラルクーはクーって伸ばさなきゃだめなの。うけけ。ほら、書いて」
 言われるままに脚本ノートに「ピラルクー:市田」と書き込みます。私は「正式には『ピラルク』ではなかったか」と思いましたが、そんな表情をすこしでも顔に出したら、瞬時に悟ってへそを曲げ、落書きを始めてしまうのがうちのリーダー。ここはじっと我慢です。
 こうしてキャラ設定は終電間際まで続き、最後は「思いつかなかった分は今度の稽古でうまいことメンバーにアイデアを出させよう」という終わるのでした。その辺の力の抜き加減が、座付き作家を続けていくコツなのかも知れません。
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2002年5月5日 ジャングル実地(?)調査の巻
←石廊崎ジャングルパークにて白インコと

 突然ですが、みなさんジャングルに行ったことありますか?
 普通ないですよね。私もないんです。でも次回公演は『ジャングル事務』。はっきり言ってタイトル先行で脚本が進んでいる状況。しかも既に舞台美術チームはジャングルのセットを作るために奔走しています。もう逃げ場がありません。
 「とりあえず、ジャングルって実際どんなところなのか、調べないとね」
 私たち脚本チームが冷や汗を浮かべながら「石廊崎ジャングルパーク」へ車を走らせたのは、至極当然な成り行きでした。
 そんなわけで、ジャングルパークです。
 入り口に立つと、中からは熱帯っぽい打楽器を多用した音楽に混じり獣の鳴き声や悲鳴らしき音声が! 高まる胸の鼓動。
 受付でチケットを購入すると、「パーク中央部で『ミラクルフルーツ不思議体験』やってます』とチラシを渡されます。
 「この不思議なフルーツを食べると、あーら不思議???なぜかあまーく感じるのです」
 ………。緊張感のない文体に脱力しながらも、パーク内を歩き始めるとちょっとジャングル気分に。「やっぱり蒸し暑いね」などと会話。調査のために来ていることを辛うじて思い出しつつ見て回ります。
 すると、パーク内に突如土産物屋が出現。おばちゃんが一人でやっているようです。『パーク名物、手作り亀』。貝を木工用ボンドで接着し、亀に仕上げた一品。おばちゃんが内職している風景が目に浮かび、目頭が熱くなります。その脇にはやはり手作りの木の実のペンダントが。「サービスでお名前をお彫りいたします」ってそこのおばちゃんが彫るのかよ!!
 くらくらする頭を押さえつつ進むと、目指していた『不思議体験』コーナーが!!(←もはや当初の目的を忘れている)
 係のお兄さんの指示どおりミラクルフルーツを3分間口の中で転がし、その後何の味付けもないカットレモンをかじると…!! あーら不思議???なんと、まるでオレンジのように甘いではありませんか!! これは凄い!!
 満足してパークを出ると、ここにも土産物屋が。おじいちゃんが一人でやっているようです。するとそこにも手作りの木の実のペンダントが。「サービスでお名前をお彫りいたします」ってそこのおじいちゃんも彫るのかよ!!
 で、脚本にどう役立ったかと言うと…。ま、とりあえず、「やっぱりジャングルって蒸し暑いんだよ」ということが分かったわけです。めでたしめでたし。
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2002年6月17日 役者への信頼と脚本執筆速度の意外な関係の巻
 想像してみてください。
 料理人にすっごく美味しいマグロを「これでお願いします」と渡して、「きっとすごく美味しいお刺身が食べられるな〜」と待っていたら、 「マグロとアボガドのサラダ」になって出て来て、「そういうつもりじゃなかったけど…これもかなり美味しいから…ま、いっか」と思うという状況を。
 これが最近の開店花火での役者たちと脚本隊の関係です。
 リーダー曰く「このセリフでこのト書きで、完璧だ!!と思ってやらせたらイメージしてたのと 全然違うもの出されて、がくーっと来るんだけどさ、その出されたやつが面白いんだもん。 そりゃこだわる気なくすよね〜」という関係なのです。
 あ、でも誤解しないでください!決して今、脚本にこだわりがないわけではなく、良い意味で適当に出来るようになってきたということです。
 旗揚げの頃の執筆作業はと言えば、役者の能力を信頼できず、脚本だけで100点を取ろうとして ピリピリして頑なになり、リーダーは一行のト書きだけで一日悩み抜いていました。どのくらいピリピリして いたかというと、私がリーダーに「そこは“○○は”よりも“○○が”じゃない?」と一言口を出せば、 「何でそういうこと言うの!?もうイライラして書けない!!」と言われ、いくらモノで釣っても褒め言葉で持ち上げても、機嫌が直って再びやる気を出すまで2時間はかかるというほどでした。
 それが今や、「あとは役者と演出に預けるってことで!!」という発想が出来るようになり、 脚本の執筆速度は旗揚げ当初に比べたら倍くらい 速くなっています。(書いていて「これで本当にいいのか?」って気がしてきたけど…、多分いいんです!!)
 さらに開店花火の役者たちは、脚本に新たな可能性を与えてくれます。稽古をやっていると 「あ、このキャラはこんなに面白くなるのか!じゃあこんなこともあんなこともさせちゃおう」という発展が生まれ、執筆の勢いを加速させてくれるのです。
 書き始めがギリギリになり、「今度こそ本当に脚本出来上がらなかったりして…」と本気で心配した 『ジャングル事務』が現在驚くべきスピードで完成に向かって進んでいるのには、こうした役者たちの能力 向上に密接な関係があるのでした。
 このまま何もアクシデントがなく、筆が止まることがなかったらいいんだけどね…。ぞくっ(悪寒)。
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2002年6月23日 不治の病、ついに発病の巻
 脚本執筆はアイデアをもらうために他の人たちに加わってもらうことが多いのですが、この日はたまたまリーダーと私のサシでの執筆作業でした。
 午後6時半。
 「さ、今日はどーする? もうちょっとプロットつめてから続き書こうか」
 いつも通り気楽にポテトフライをつまみながらリーダーに問いかけた、そのとき。
 ついに、リーダーからあの言葉が漏れたのです。
 「今度の作品、前回よりも面白いのかな…」
 私の頭の中にサイレンが鳴り響きます。非常事態警報! スランプ警戒警報発令!!
 恐れていた事態。脚本家が最も恐れる「スランプ」の危機が迫っていることを示す、このセリフがついに出てしまいました。
 この言葉が一度口から出るということは、同じ問いを数十回は繰り返し尋ねられ、その間筆は殆ど止まり、極度の鬱モードに長時間付き合わねばならないということを意味するのです。その「長時間」が数時間で済むか何週間にもわたるかは、誰にもわかりません。
 「何を書きたいのかわからなくなってきたし…。そもそも作品がつまらない気がする…」
 「そんなことないよ!! どの脚本書いてても絶対それ言い出すけど、いつも評判いいじゃん! 役者たちだって今度の脚本読んで爆笑してたじゃん!!」
 どんなに叫んでも、彼の耳には最早届きません。どんどん遠い目になってゆくリーダーを見て、
 「今回こそ脚本あがらないかも…。公演は無理かもしれない…」
 そんな思いが頭を掠め、役者たちの笑顔が走馬灯のように脳裏を駆け巡ります。
 そうだ、いけない!! ここで私までダークサイドに引きずられてはならないのだ! 奴らの期待を思い出せ! 立て、立つんだ私!!
 さぁ、私が編み出した、スランプ打開秘技を見よ! それは…、『自分がどーしよーもないアホになり下がって相手を一旦怒らせちゃう攻撃』である!!
 「え〜、なんでそんなこというの〜? だってこことかあそことかめちゃくちゃおもしろいよー! ほらほらこことかさ! 見てよ見てよ! ひゃははは! ひゃはははは」
 極意は、ひらがなだけで話している意識を常にもち、とにかくバカっぽくよく笑うことである。そして相手の怒りの爆発を誘い、スランプの元となったイライラを昇華させるのだ!
 「そうやって誉めるとこがあるならさ、原稿を最初見せたときから、まず素直に誉めて欲しいんだよね!」
 さぁ、やっと相手がのってきました。あとはこの怒りの全てを受け止め、「もうしないから」とひたすら謝り、機嫌を直してもらうことだけを考えましょう。怒るだけ怒った相手は、必ず次第におとなしくなってくるのですから。そしておとなしくなった頃合いを見計らって、だめ押しをします。
 「じゃあさ、気分直しに、メロンソーダでも買ってこようか」
 ここでちゃんと相手がうなずいたら、事件は解決です。ようやく脚本に取りかかれるのです。めでたし、めでたし!!
 しかし時計を見ると、既に夜の九時。こうしてマックの夜は更けていくのでした…。
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2002年7月7日 本番1ヶ月前に物思うの巻
 ついに、来月の今日は本番です。思わず今日は前回公演の本番でのことを色々と思い出してしまいます。なんと言っても前回公演での一番の大事件は、「リーダー病院送り」でしょう。

 公演期間の前半にご来場くださった方にしかご覧いただけませんでしたが、前回公演には、リーダーがタイチに背負い投げで投げ飛ばされるというシーンがありました。舞台の床は、一見畳のように作ってはあるけれど、実は板の間にゴザを引いただけの状態。メンバーは一様に怪我しないかと心配しましたが、「脚本演出の当人がやると言うのだから大丈夫だろう、リーダーは体重も軽いし」と納得してしまいました。

 この決断を、本番三日目にメンバーたちは後悔することになります。

 三日目の朝、リーダーはあばらの痛みを訴え、午前中に病院に行ってシップやコルセットを付けてもらって来ました。が、どうやら骨に異常はないようでした。
 その日一日リーダーはろくに食べ物も取らずにいましたが、リーダーの偏食と食欲不振はいつものことなので、「何か食べないと」と注意しつつも、メンバーたちもあまり気に止めず強引に食べさせたりしていませんでした。

 そして三日目の夜の公演が終わり、一同が「今日は劇場に泊まらず帰ろう」と急いで帰り支度をしていたとき。
 楽屋で自分の荷物を背負ったリーダーが
 「あ。気持ち悪い」
 とつぶやき、がくりと力なく膝を折ってその場に倒れ込みました。

 急いで荷物を降ろさせ、とりあえず横にさせて様子を見ますが、リーダーの顔色はみるみるうちに土気色になり、額に汗が浮かんできます。あばらの付近に異常がある可能性もある今、メンバーの不安は膨れ上がります。
 「救急車よりもタクシーだな、タクシー呼んで来るよ!」
 こういうとき本当に頼りになるぐっちとはっちが楽屋を出て行きました。私はリーダーの荷物を抱えておろおろするのみ。
 やっとタクシーが到着、新宿の病院に心当たりのある私がリーダーを支えて乗り込みました。
 どうにか病院に着いて待合室のソファで順番を待っていると、最早意識も朦朧としてきているリーダーがうつろな目でつぶやきました。

 「死ねない…。まだ死ねない…。伝説残さなきゃ…

 笑っちゃいけない!!と私は自分に言い聞かせながら、お葬式に笑いが止まらない人のような状態に陥っていました。そして理由もなく、確信したのです。
 「この人は殺してもきっと死なない」
 さらにリーダーのつぶやきは続きました。

 「伝説残さなきゃ…。30才で豪邸建てて…

 すごい、もはやこのつぶやきが伝説ではないでしょうか。彼が「知ってるつもり!?」(って番組まだあるの?)に取り上げられる暁には、必ずこのエピソードを加えて欲しいものです。
 そんなことを考えながらリーダーを診察室に見送り、しばらく待っていると、リーダーは膨れて戻って来ました。
 「気分的なものでしょうだってさ」

 それから先リーダーは、さっきのつぶやきを覚えているのかいないのか、医者をやぶだと罵倒しつづけました。そんなリーダーの横顔を見ながら、私は「本当に面白いことってこういうことなのかも知れないなぁ…」などと思いを巡らせたのでした。

 この話を戻ってすぐメンバーに話したら、「こまっちゃんひどい、面白がってる場合じゃない」と皆から一斉に非難されました。そしてリーダーに元気になってもらおうと何十分もかけてコンビニなどを渡り歩き、リーダーの好きな握り寿司セットを買ってきていたはっちを見て、「私って本当にひどい」と反省したのでした。

 さて、『ジャングル事務』ではどんなトラブルが待っているのでしょうか…。
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2002年7月20日 ぴあ掲載記事に劇団員衝撃の巻
 芝居をやっている人は概して老けている人が多いです。私は完全にその逆を行っていますが、うちのリーダーはまさにその典型です。今回はそんな話。
 うちのリーダーは自分の年を明かすのを好みません。見た目でせっかく年上に見られるのに、実年齢がばれると「なめられる」と思うようです(私の観察によると)。というわけで、他劇団などの知り合いはおろか、開店花火のメンバーにもなかなか年齢を明かしません。
 しかし開店花火のメンバーたちは大抵がしぶとくリーダーに食い下がり、どうにか実年齢を聞き出すことに成功していました。ところが。ただ一人、開店花火に参加して1年過ぎてもリーダーの実年齢を知らない人間がいました。
 誰あろう、市田ヲサムです。
 彼はいつの間にか開店花火の「いじられキャラ」として自らの存在を確立し、その地位は不動のものとなっています。従ってこの「リーダーの年齢を彼だけ知らない」というのは、彼のキャラクターを活かす素晴らしい要素でした。そんなわけで誰も自ら進んで市田氏にリーダーの年を教えることをせず、人の好い彼はあえて強引に聞き出さず、均衡が保たれていたのです。
 そんなある日、事件は起きました。
 『ジャングル事務』の公演情報が写真入りで掲載されたぴあの発売日。ぴあを手に取ったメンバーたちはそれぞれに愕然としました。
 「00年に設立された演劇集団。80年生まれの平田有也が…」
 ば、ばれた。
 確かに、ぴあの編集の方からすれば、作・演出・出演をこなす代表者がそんなに若いということは大きなセールスポイントに見えたことでしょう。そのおかげか一般のお客様のチケット予約数も順調な伸びを記録し始めました。
 しかし。市田氏にばれてしまったのです。
 突然ですが、今回の涙日記はここまでです。なぜなら、ぴあを読んでいると思われるのにも関わらず、市田氏のリアクションが未だに全くないからです。
 実はずっと前から知っていて、そ知らぬ振りを通していたのか。
 初めて知ったが、知らないのは自分だけだったのかと思いショックで黙っているのか。
 それとも年齢なんてどうでもいいと思っているだけなのか。
 真相は未だに闇の中です。もしかしたらこの涙日記を読んで、彼は全てを知ることになるのかも知れません。
 ま、それもまた一興。
 こんなに話題になるほど密かにみんなに愛されている市田氏にちょっぴりジェラシーを感じる小松の、ちょっとしたいたずら心なのでした。どうぞ続報をお楽しみに。
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2002年8月2日 脚本、ついに完成の巻
 正直に告白すると、この8月2日の日記は8月26日に書いています。何しろ書く内容が、「脚本完成」!! これは完成した日付に記録すべきだ!! というわけで8月2日付け。へへ。
 さて。記憶力のいい貴方は既にお気づきでしょう。そう、『ジャングル事務』の公演初日は8月7日。つまり脚本完成は本番5日前でした。さらに言えば、小屋入り(舞台製作やリハーサルのためにスタッフと役者はちょっと前に劇場に入るのです)は8月5日。つまり、脚本が完成したのは実質的には3日前だったのでした。ああおそろしい。
 これまで散々この涙日記には脚本製作は順調っぽいことを書いておいて、このザマは何だ!と思われるでしょうか?
 違うんですよ、書けてなかったわけではないんです! いくら書いてもOKが出せなかったのです〜。うう(泣)。
 それはどういうことか。まずは完成直前一週間の私の生活をお読みください。

 08:00 出勤(普段は仕事しないと生活できないので)。
 18:00 勤務終了。
 19:00 『ジャングル事務』稽古に参加。立ち稽古の連続、体力大量に消耗。胃痛を覚える。
 22:00 稽古終了。
 23:00 帰宅。
 01:00 プロットを元に「ざっと書き(細かいこと考えずにとにかく脚本の形に話をおこす)」の開始。
 05:00 どうにか書き上がる。「やっと完成だ!」疲労困憊だが充実した気持ちでリーダーにメールで原稿を送り、就寝。
 08:00 朝日をまぶしく感じながらまた出勤。
 10:00 勤務中にリーダーより「こういうところとああいうところが納得いかないので書き直し」とのメールが届く。
 悶々としたまま18:00勤務終了…(19:00以降同じことの繰り返し)

 こんな毎日だったわけです。「やった、出来た!」と「駄目だ、やり直しだ」の際限のない繰り返し。それはまるで賽の河原で石を積む子供のようでした。
 もちろん、私の「ざっと書き」に駄目を出すリーダーが一番苦しみ、一番睡眠を削っていました。私の原案を最終的に脚本にし、全ての責任を取るのがリーダーですから。だからこそ、脚本の結末に彼はぎりぎりまで粘って妥協をしませんでした。

 そして。苦しい一週間が、明けたのです。
 「明けない夜はない」。何て素晴らしい言葉でしょう。
 世界ってすばらしい。太陽って何てまぶしい。えっ、寝不足のせい?

 何はともあれ、私の原案はやっと通り、リーダーが脚本をやはり激しい睡眠不足のなか完成させ、遂に脚本は最終ページまで役者の手に渡りました。
 すると何ということでしょう。完成した脚本を読んだ役者たちは、こんなにも遅れたことに文句も言わず、ただただストーリーの結末を読んで熱くなっていました。
 いい! あんたたち本当にいい人間だ! 私は皆が大好きだーー!!

 そして本番当日の劇場には、本番前に欠かさずリゲインを飲む(280円以上じゃないと効かない)私コマツと、セリフ覚えに直前まで冷や汗をかく(自分で書いてるとはいってもセリフ覚えはまた別問題)リーダーの姿があったのでした。
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